花が散るまで

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「さっきも言っていたけど、幽霊なんて冗談でしょう」 言いながら立ち上がった吉乃は、近くの家の壁に手をついた、が。 「っ!」 その手はするりと通り抜け、危うく転びそうになる。 信じられない気持ちで、吉乃はサクを見た。まさか、本当に。 「私、死んだの……?」 「いえ、体から魂が抜けただけです。ただ、その魂が欠けている」 魂が、欠ける? 眉を寄せた吉乃に、サクはコートのボタンを開けながら説明する。 「魂は脆い。落下の衝撃で身体からポーンと抜けて、欠けちゃったみたいですねぇ」 そんな、落とし物みたいに言わないで欲しい。 というか! 「前開けないでよ! 見えるでしょう!」 何故か、当たり前のように全裸の前面を見せている。
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