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誰もいない、真っ暗な部屋。
唯一分かるのは、室外から少しだけ入る光。
暗い部屋は、今の私にはピッタリな場所。
恋なんて、私には必要ないもの。
あの日から、私の恋をする心はストップしたままだった。
本心は、誰にも見せることはないし、開けない。
そう思っていたのに。
「なんで……」
どうして今、こんなにも泣きたくなるんだろう。
どうして、今更欲しいと思ってしまうんだろう。
彼が誰にでも向ける、決して独占することのできない暖かい眼差しも、穏やかな笑顔も。
どこへ行っても、どこにいても私に向けて、笑いかけて欲しい。
その気持ちを、どうしてこんな時になって分かってしまうんだろう。
恋はいつも間に合わない。
私はまだ
傷つく覚悟も、恋をする覚悟もできていないのに。
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