最後の答え

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「また、事業部に来てもいいですか。…吉永さんみたいに」 「…何言ってんだ佐倉」 初めて聞いたのなら、それは一見冷たく聞こえたのかもしれない。 でも、それは違う。 「確かに異動にはなるが、それで佐倉の居場所がなくなるわけじゃないだろう」 すごく優しくて、温かくて、でもどこか呆れたような声だった。 「いつでも来い。遠慮はするな」 …本当にすごい人だな、と何度思うのだろう。 クールで冷徹で、笑わない。 そんなイメージをかつて持っていた自分がいた。 確かにクールで、滅多に笑うことはない。 でもその裏では、ちゃんと部下のことを気遣って、考えてくれている。 たまにだけれど、その無表情の口端を上げてくれる。 この人の部下で良かったと、何度思ったことだろう。 「幸せになれよ。綾瀬は、必ず幸せにしてくれる。佐倉は何も心配しなくていい」 柔らかい笑みを浮かべて、彼はそう言ってくれた。 初めて見るくらいの、柔らかい笑顔だった。
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