第1章

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体制を立て直して彼女が拾ってくれた眼鏡をかけて見ると、目の前には僕を見つめる若い女の子がいた。 濃いまつげに縁取られた猫の様な大きな瞳。 その瞳は恐怖に怯えるように揺れていた。 ああ、ホントに猫のような子だ…。 見ず知らずの他人に、特に女性にそんな風に僕が声を掛けるなんてありえないことだと思う。 でもこの時はそうせずにいられなかった。   「嫌な奴って知り合い?」   「知り合いだけど、ずっと付きまとわれてて。怖くて」 “ストーカー”なのか?幸い下からは足音はまだ聞こえない。   「じゃあ、とりあえずついて来て」
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