第1章

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もう11時を回っている。 僕は仕方なく、僕のマンションの住所を告げた。   「よかったら、うちにくるといい」 僕がそういうと、やっと彼女は僕を見た。   「本当に?ありがとう」 その目はやはり猫に似ていた。 マンションの下でタクシーを降りると、彼女はそのまま僕の後ろをついてきた。 エレベーターの中で彼女が、話しかけてきた。   「眼鏡、壊してまって。ごめんなさい」 仕方なく掛けているが、グラスとフレームにはひびが入っている。 「ああ、これなら大丈夫。家にはいくつか置いてるから」   「弁償します。絶対に、弁償しますから」
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