171人が本棚に入れています
本棚に追加
「いいよ、気にしなくて大丈夫。それより君、名前は?」
「市井絢と言います」
「僕は高宮笙です」
「高宮さん、助けてくれてありがとうございました」
彼女はあどけない顔で笑った。
部屋の前でドアを開けながら、
「殺風景ですまないけど、どうぞ」
と声を掛けた。
そのまま僕はリビングへ行き、エアコンのスイッチを入れたが、彼女が入ってくる気配がしなかった。
「どうぞ」
もう一度声を掛けながら玄関に迎えに行くと、彼女は気まずそうな顔をして佇んでいた。
「どうかした?」
最初のコメントを投稿しよう!