第1章

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「お邪魔します」 彼女はおずおずとダッフルコートを脱ぎ、リビングのソファに座った。 「とりあえずコーヒーでも淹れるよ。コーヒー飲めるかな?」 「飲めますよ」 コーヒーを淹れて、リビングのテーブルに置くと   「いただきます」 と言ってカップを取った。 一口飲んだあとの、彼女の少し歪んだ口元を僕は見逃さなかった。   「コーヒーは嫌いだったんだね?」 そう言うと、彼女は頬を少し赤らめながら、   「ミルクを入れないと美味しくないし」 と口を尖らせる。
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