第1章

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まったく鬱陶しい輩だ。   「俺が必要な時は、いつでも言ってよね。笙さんの力になるからさ」   「ああ、引っ越すときは頼むと思うよ。優秀な不動産屋さん」 僕はそう言ってマティーニを飲み干した。 榊が不満そうに何かを言いかけた時、店のドアが開いて、客が入ってきた。 と同時に、その客の一人が、ヒールの音を響かして近づいて来る   「あら、榊さん今晩は~こんなとこで会えるなんてうれしい。一緒に飲みましょうよ」 見なくても、派手さのわかる香りが鼻についた。 巻き込まれるのはごめんだ。   「マスター、チェックを」 察したマスターは、すぐに伝票を渡してくれた。
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