171人が本棚に入れています
本棚に追加
急に落ち込んだ気持ちを引きずりながら帰ろうとした時、下から急ぎ足で駆け上がってくる足音がした。
見ると、ダッフルコートの若い女の子が長い髪を振り乱しながら走ってくる。…
そして目の前に来たっと思った瞬間、どんっと彼女は思い切り僕の胸の中に飛び込んできた。
“…っ!”
よろけた僕は倒れそうになりながら、それでも腕を伸ばし壁に手をついて体を支えたが、そのはずみで眼鏡が床に落ちた。
「ごめんなさい」
胸の辺りで声がした。
「助けて。嫌な奴に追われてて」
最初のコメントを投稿しよう!