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そのまま外へ連れ出し、マンションの階段を駆け下りたところで広希の腕を放した。
「なにするんだよもー、せっかくのスーツが皺になるじゃないか」
正座はいいのか、という言葉は飲み込んだ。
別な疑問が先だ。
「あんたまさか、おれらに緑の声が聞こえるとか、母さんに話してないよな」
「言う必要ないよ。君のご両親、連城家の人だから」
「へ……?」
思考が固まった。
連城家というのは緑の声が聞こえる家系で、それらを救うことが仕事だと言われつつ、殺される現場を見せられたのはつい最近のことだ。
しかし、両親が連城家の人間だというのは聞いていない。
「でね、ちょっと君にお願いがあるんだよ。私が困ったら協力してくれる約束だったよね?」
「待て……って、そこ理解しきってないのに話を進めるな!」
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