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「あ、タクシー来たよ、昭人くん。嫌だじゃないの、美刀。車がいやなら自分で消えなさい。あんまり世話焼かせないの!」
美刀の態度は、どう見ても。
「広希さん、それ……、あんたに甘えてるんじゃね?」
「ん?」
広希が首を横に向ける。
『冗談じゃない!』
ふっ、と消えた。
「おや、変な態度だったねえ」
広希が美刀に気を取られた隙に、昭人がタクシーに乗り込む。
「……ちょっと待ちなさい、昭人くん。なぜ君が先に乗る」
「うちまで乗せてって」
「君はご近所でしょ、降りなさい、青少年」
タクシーから引きずりだされる。
あらあら、と小夜子が笑った。
「残念だわ、昭人さんが一般人で。広希さんといいコンビネーションですのに」
「あ、大丈夫。おれ、この人についていきますから」
広希がとてつもなく嫌そうな顔をした。
「こんな部下いらないよ!」
礼儀も何もなく、広希がタクシーに乗り込み、走らせた。
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