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「私、生まれた時から連城家にいたからそれで普通。社会出てびっくり。いやホント冗談抜きで携帯電話の使い方わかんなくてさあ、あれには困ったよー」
「……そういう頼みごとか?」
「メールってどうやるか聞いていい?」
嬉しそうに言った。
「や、それはいいけど……」
じゃあさっそく、と鞄の中身をさぐりだす。
「あっ、壊れてるよ。こっちもだめかな。あー……やっぱり。そしてこれも、あーだめだー」
持ちきれなくなり、近くのベンチに並べだす。統一感のない色と形だった。
「な、何個出てくるんですか……」
「新しいのは三つ。会社の支給品が古くてダメなのかと思って、ひとつずつ別の電話会社と契約してみた。君と連絡取るために」
「……あのさあ」
すぐ携帯を壊すから、と広希が言っていたことを思い出す。
連絡先の交換を断る口実だと思っていたが、まさか本当だったとは。
「まだほとんど触ってもないんだよ。三つあればどれかは使えると思ったんだけどなあ」
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