第1章

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―――――――――― 放課後。 私は図書館へ向かった。 私は図書委員をしている。 図書室は静かでいい。 ゆっくり本を読めるし、勉強もはかどる。 有名私立校だけあって、蔵書も充実している。 私は大抵、図書館で閉館までを過ごす。 ここは私の逃げ場所だ。 グラウンドの横を突っ切って帰る。 隣は体育館に通じる階段。 河内が顔を洗っていた。 普段は囲まれてるイメージしかないのに 珍しい。 …って、よく見たら… 「ちょっと!!怪我してるじゃない!!」 「ん?あぁ…これくらい大したことねーって。」 「駄目!!化膿したらどうするの!!」 「けど…」「いいから座る!!」 「…。はい…。」 さっとハンカチを水で濡らして傷口にあてると 「いっ!!」 ちょっと痛そうに呻く河内。 …おもしろい…かも…。 持っていた絆創膏をはってあげる。 はっとした。 よく怪我をするアイツのためにいつも絆創膏を持っていた。 今もなんとなく持ち歩いていたけど、こんなところで思い出すなんて… 河内の手当てをした光景が アイツと重なってフラッシュバックする。 思い出したくもないヒト。 「…どした?」 「あっ…ううん。何でもない。」 我に返ってあわてて誤魔化した。 …不自然だったかも。
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