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近くの駅前にあるカフェに来てもらうことにした。
店の外の張り出しテントの下にテーブルが置かれていて、目印である文庫本を二冊つみあげて待つこと15分、30代とおぼしき女性がやってきて、
「お待たせしました。人材サービス社の者です」
とお辞儀した。
ぼくはコーヒーをこぼしそうな勢いで立ち上がり、
「あ、あ……コチラコソヨロシク」
と噛みながら応じた。
「すてきなお店ですね」
女性はニコニコと笑顔を見せると、丸テーブルの向かい側に腰かけた。
ぼくは反射的に、親しげなレンタルフレンドの態度をつい警戒してしまった。親しげに近づく人間にろくな奴はいなかったから。なにかを売りつけられたり、言いがかりをつけられたり。
「そ……、そうですね」
「今日はよろしくお願いします」
名刺を差し出した。
それを受け取り、なんだか生命保険の勧誘員と対しているような気分になった。
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