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もちろん、そんな環境下にあって、親しい友人を作れる人間がいることは承知しているが、ぼくはそうはしなかった。
他人が怖いのである。
田舎では狭い人間関係が維持されてしまい、一度人間関係が固定されるとそれを変えるのは困難を極めた。小中高といじめられてきたぼくは、その負のスパイラルから逃れることができなかった。都会に出てきたのも、それをリセットするためだった。
そして、人間関係はいじめを発生させるということを学んだぼくは、だれかと親しくするのを避けた。親しくするといじめが始まるからだ。まったくの他人同士ではいじめがおきない。
だから友人を作らなかった。もちろん、恋人もいない。
SNSもなんだか恐ろしくて近寄らなかった。もっとも、パソコンもなく、ネットに接続できるのは、数年前に都会へ出てくるときに買った、あちこち傷だらけの古い型のガラケーだけで、それではネットを自由に使えなかった。
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