憧れ

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彼は、私達女子社員の憧れの存在。 入社したときにはすでに結婚していたから、 手に届かない、本当にただの憧れ。 私、田島晴香も、 今となりで繁々と書類を見る同僚の清水美緒も、 目の保養、なんて言いながら、 芸能人を見てるかのように、いつも眺めている。 「奥さん、羨ましいなぁ。」 彼を見かけるたびに、そう言ってる美緒。 「うん。絵に描いたような幸せな家庭なんだろうね、きっと。」 「えー、それはわかんないよ?」 「でも、赤ちゃん生まれて、あの笑顔だよ?」 さっきの笑顔、本当に幸せそうだった。 「そうだけどさー、色々あるんじゃない? ってか、なきゃずるいでしょ。」 「願望じゃん。」 「でもさ、奥さんってどんな人なんだろう。」 確かに。 こんなに注目を浴びてる人の奥さんは ちょっと見てみたい。
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