憧れ

6/6
前へ
/69ページ
次へ
「会社に誰かいないの?」 「いないよ。私の部署、おじさんばっかだし。」 正確には若い人もいるんだけど、なんていうか、 独身だけど、ただのおじさんと括りたくなるような人。 「探せばちょっとはいるでしょ。」 「いいなって思う人はみんな、彼女持ちか、 妻子持ち。」 「…なるほど。」 そのとき、私の脳裏に浮かんだのは、 紛れもなくあの人だった。 でも、まだこの時は、 純粋に素敵な人だなぁって思っていただけ。 1年後。 とある偶然をきっかけに、急速に私の心を蝕んでいくとも知らずに。
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

180人が本棚に入れています
本棚に追加