第2章

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「あ、でも愛莉、大阪に引っ越しましたよ」 「みたいだね、渡瀬から聞いた」 「そうですか……でも、愛莉が幸せになって本当に良かったです」 寂しいような嬉しいような曖昧な笑顔で微笑む彼女。 「そうだね」 話が途切れると、途端に外野の賑やかな声や音が耳を占領する。 「……で、その後ど?」 諭すように柔らかく聞くと、彼女は微かに頬を動かして静かに言った。 「何も変わりはないですよ」 「そうですか」 「……はい」 「ちょっと厳しい言葉を言ってもいいかな」 「はい」 「君がもし上妻課長じゃなくて渡瀬とそういう関係だとしたら、真理恵ちゃんはどう思うかな」
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