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いつの間にかシャツを脱ぎ捨てていた彼の、厚い胸板が視界に入る。
「知樹……。大好き」
初めてだ。
自分から彼を引き寄せて、キスをしたなんて。
「もう知らないぞ。スイッチは楓が入れたんだ」
少し意地悪い言葉を吐きながら、それから彼はまるで私を食べつくさんがばかりに、激しく攻め立てる。
「ヤッ、ダメッ……」
「声は我慢して」
そんなこと言ったって……。
彼は片手で私の口を覆う。
いつもとは違うシチュエーションに、気持ちが高ぶってしまう。
昼間、焦らされたせいか体の奥の方がジンジンと疼きだして……。
「あぁっ」
やっと彼が入ってくると、我慢しきれず声が漏れた。
「ずっとこうしたかった」
「知樹……」
私も、だよ。
どれだけメールで言葉を交わしても、時々電話で声が聞けても、やっぱりあなたの温もりを、こうして直に感じたい。
「もう、離れたくない」
「うん」
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