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「知らなかった。あれ……」
スマホの画面をスクロールしていくと、最後に……。
【三人予約したから。知樹のおごりで】の一言が。
「あはは、一馬らしい」
「だな。でも、アイツには借りがあるから」
『借り』ってなんだろう。
不思議に思って首を傾げると「楓を守ってくれているからな」と私の頭をポンと叩く。
そっか……。
知樹がいない間、一馬には本当に助けられた。
飛騨牛の焼肉と寿司の盛り合わせくらいでは、とても足りない。
「一馬ね……。すごく助けてくれたの」
「うん。でもちょっと妬ける」
不意に立ち止まった彼は、あっという間に屈んで唇を重ねる。
「ヤダ。こんなところで」
周りに人もいるのに。
それでも、この幸せな時間が永遠に続いてほしいと願った。
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