雪に交わした約束

29/51
前へ
/324ページ
次へ
「知らなかった。あれ……」 スマホの画面をスクロールしていくと、最後に……。 【三人予約したから。知樹のおごりで】の一言が。 「あはは、一馬らしい」 「だな。でも、アイツには借りがあるから」 『借り』ってなんだろう。 不思議に思って首を傾げると「楓を守ってくれているからな」と私の頭をポンと叩く。 そっか……。 知樹がいない間、一馬には本当に助けられた。 飛騨牛の焼肉と寿司の盛り合わせくらいでは、とても足りない。 「一馬ね……。すごく助けてくれたの」 「うん。でもちょっと妬ける」 不意に立ち止まった彼は、あっという間に屈んで唇を重ねる。 「ヤダ。こんなところで」 周りに人もいるのに。 それでも、この幸せな時間が永遠に続いてほしいと願った。
/324ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2298人が本棚に入れています
本棚に追加