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そうやって私達は高校生になった。
高山で一番レベルの高い高校を三人そろって受けたけれど、ずっとへき地医療に興味があって医学部を目指していた知樹は余裕の合格。
そして私も、さほど問題なく合格した。
問題は、一馬。
中三になってから、一馬の家か知樹の家に集まって、一緒に勉強してきた。
だけど、隙を見つけてはサボる一馬は、なかなか成績が上がらなかった。
受験まであと半年になったころ、模試の成績があまりに残念だった一馬に知樹がこう言った。
「一馬、残念だな。楓と一緒の学校は無理みたいだ」
なぜかその一言に青ざめた一馬は、人が変わったように勉強し始めた。
そして私達は三人とも無事に合格を勝ち取った。
「肉食って帰ろうぜ」
「またあの店か。常連過ぎて恥ずかしい」
“あの店”というのは古い町並みにある、お土産屋さん。
その一角で、飛騨牛の串焼きを販売している。
お値打ちな値段で飛騨牛を堪能できるから、観光客にも大人気の店。
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