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「こんなにきれいになって。心配すぎる」
彼はしばらく視線を絡ませた後、少し苦しげな顔をする。
もしもきれいになったのだとしたら、それは知樹に恋焦がれているからだ。
「知樹……会いたかった」
ずっと電話では言えなかった言葉を、何度も口にしてしまう。
「俺もだ。毎日楓のことばかり考えてた」
まだ濡れている彼の髪から、ポタリと水滴がこぼれ落ちた。
「抱きたい」
夕食までにはまだ時間がある。
一馬が同じ建物の中で働いているのにという罪悪感がなかったわけではない。
それでも、互いを求めあう気持ちの方が勝ってしまった。
「知樹……」
それが合図だった。
彼はすぐに私の唇を塞ぐと、すぐに唇を割って舌を滑り込ませてくる。
それだけでは飽き足らず、片手はカットソーの上から私の胸を揉みしだき始めた。
いつもより性急に感じるその行為は、私の気持ちを高ぶらせる。
こんなにも求められると、うれしくてたまらない。
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