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あと一年。
知樹の研修は、あと一年。
もう少しの辛抱だと、ふたりともわかっている。
だけど、いざこうして会ってしまうと、離れがたくなってしまうというもの。
「んっ、んっ……」
悩ましげな顔をして腰を打ち付けてくる彼も、時折艶めかしい溜息を漏らす。
「はぁっ……知樹……」
知樹に与えられる快楽に耐え兼ね、体を仰け反らせて悶えると、彼もまた、苦しげな顔をして息を荒げる。
「あぁっ、楓」
そうして彼は、私にキスをしながら果てた。
「はぁはぁ」と呼吸するたび上下する彼の広い胸に、頬をつけてしがみつく。
「ごめん、楓。我慢できなかった」
「ううん」
私も抱かれたかったから。
知樹は私の長い髪に手を入れ、何度も何度も撫でてくれる。
早く、早くこの人の妻になりたい。
もう少しだけ、我慢だ。
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