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「楓は食いたいだろう?」
「他人のせいにしないでよ。まぁ、食べてもいいけど」
そうは言いつつも、三人ともあの店の牛肉の串焼きが大好きだった。
とはいえ、霜降りは一本五百円。
高校生の私達はいつも霜降りという訳にはいかず、二百円の赤身が多かった。
それでも十分おいしかったけれど、テストが終わるたびに、ご褒美として霜降りを食べるのが習慣になっていた。
「一馬。テストどうだった?」
「チッ。かーちゃんみたいなこと聞くなよ」
イヤなことを言いだしたと、数馬は知樹をにらむ。
「だって、次赤点だとお母さん呼び出されるよ?」
「ふん。ギリギリセーフだし」
今度は私が脅しをかけると、一馬は余裕の顔。
そして一馬は、三十五点のテストを自慢げに見せた。
「おぉ、狙ったような点数だな」
「うるせーな。優秀な知樹さんには敵いませんけどね」
「当たり前だ。ギリギリうちの学校に合格したやつとは違う」
今度は知樹が九十点のテストを取りだした。
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