初恋は、幼馴染と

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大きな紺のリボンがついたバナナクリップは、まだ未熟な私には大人すぎて見えだけど、それでもすごくうれしかった。 「だけど楓ってさ」 「ん?」 「最近、うれしいときだけ俺ん家来るんだな」 「そう、だっけ?」 そんな意識はないけれど……。 「ほら、もっとチビの時はさ、かじゅまーって言って泣いてたのにさ」 「言ってないし」 そういえば……小さな頃は辛いことがあると、なにも考えずどちらかの家に飛び込んでビービー泣いていたような。 いつからだろう。 とてつもなく泣きたい日は、知樹の家に向かうようになったのは。 どうしてだろう。 知樹の前だけで泣いてしまうのは。 「ま、いいや。楓の笑顔好きだし」 「今度から一万円ね」 手を出して広げると、一馬は不思議がる。 「は?」 「私の笑顔は一万円するの」 「調子に乗るな、コラ!」 ただ、一馬とこうして笑い転げるのが楽しかった。
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