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私達は三人で一組だった。
クラスが別れようとも、私達の絆が途切れなかったのは、私の家のことがあったからなのかもしれない。
いつも不安定で綱渡りをしているような私の生活は、ちっとも改善されることはなかった。
父と母のケンカのたびに駆け込まれては、知樹も一馬も迷惑だっただろう。
だけど、知樹はいつも私の話を聞いて受けとめてくれたし、一馬はいつも楽しい話をして辛い時を忘れさせてくれた。
どうして父と母がそんなにケンカをしているのか、正直言ってわからなかった。
ただ母はいつも「あなたと結婚したから、私は不幸になった」とばかり叫んでいて、父はその言葉にうんざりしていた。
「ねぇ、知樹。どうして結婚なんてするのかな」
「んーそうだな。誰だって嫌いな人とはしないだろ? 結婚するときはこの人と一生を共にしたいってするわけだ」
「うん」
そんなことはわかっている。
きっと父と母も、最初はそういう気持ちだったに違いない。
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