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結局私達は、いつものように古い町並みをブラブラすることにした。
なにをするわけでもない。
もう来すぎているから、どこにどんな店があって、どんなものが置いてあるかを知り尽くしている。
「一馬が肉食わないなんて珍しいな」
知樹も私と同じことを考えていたようだ。
「おぉ。ちょっとさ、今日は贅沢しようか」
「贅沢ってなによ。一馬にお肉以上の贅沢あるの?」
肉好きの一馬に、お肉以上の贅沢など、あるはずがない。
ちょっと茶化し気味に言うと、彼は意外なことを口にした。
「俺じゃねぇよ。楓の」
「私?」
私の贅沢?
「そう」
一馬は勝手にひとりでスタスタと歩いていってしまう。
そして、とある喫茶店に入った。
そこは私の大好きな わらびもちがあるお店だった。
「やったー。一馬、おごってくれるとか?」
「事と次第においちゃあな」
「は?」
なんだか、今日の一馬は変だ。
私の向かいに一馬と知樹。
三人の時はいつもこのスタイル。
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