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その日からも、一馬は、私のよき理解者としてそばにいてくれた。
もしかしたら一馬は友達としてではなく、知樹と同じように私のことを……と思わなかった訳ではない。
交際を告げたとき、視線を合わせてくれなかったから。
だけど、そんなことは一言も口にしなかった。
「ラブラブのところ悪いな」と言いながら、一馬は私達と変わらず一緒にいてくれた。
私も知樹も、邪魔だとは一度たりとも思ったことはない。
私達が一番心配していたのは、三人のこの関係が崩れる事だった。
一方、知樹と私の関係は、以前とさほど変わらなかった。
ただ、一馬の家にひとりでは行かなくなったくらいだった。
高校三年になって、私達は進路を明確に定めた。
知樹は夢を叶えるために、名古屋の大学の医学部に照準を定めた。
私は……知樹の夢を聞いているうちにいつしか自分もと思い始めて、岐阜の看護大学を目指すことにした。
そして一馬も、高山でなにかしらの仕事につきたいと、ホテルマンを目指して、名古屋の専門学校へ行くことを決めた。
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