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「知樹。一馬、なに言ってたの?」
「楓を泣かせたら殺すって言われた」
私の手を握った知樹は、柔らかい顔で笑った。
一馬の優しさが、わかっているのだ。
「楓」
「ん?」
「約束する。俺はお前をずっと守る。離れてもずっと……」
本当は不安だった。
ずっと住み慣れた高山から出ることも、知樹から離れることも。
これから先、ここで長い人生を歩くためだとわかっていても、やっぱり不安はぬぐえない。
「知樹。私……」
「楓が泣いていたらすぐに駆けつける。必ず、だ」
それから交わしたキスは、あの日以来の二度目のキスだった。
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