未来は、きっとあるから

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「こんな俺にも、まだできることがあるのかもしれないと、教えられた」 彼は私に手を伸ばし、頬の涙を拭う。 「それからすぐに、東京の病院にドクターとして復帰して……高山に欠員ができると知って、戻る決意をした。だけど……」 彼は一瞬口をつぐみ、苦々しい顔で私を見つめる。 「楓に会えることに、罪悪感を抱いた」 「知樹……」 かつて彼は、『俺、亡くなった人に申し訳なくて、幸せになるなんて許されないと思ってきた』と言っていた。 亡くなった人の未来を奪ったと感じている彼には、当然ある感情なのかもしれない。 「俺はまた、楓を求めてしまうんじゃないかって、気持ちが抑えられなくなるんじゃないかって、悩んで悩んで……」 彼は、テーブルの上の手をギュッと握りしめる。 私、だって……。 一馬と生きていく決意をしたくせに、結局できなかった。 知樹への気持ちを、とどめておくことができなかった。
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