未来は、きっとあるから

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「それでも、もう引き返せないと思っていた。だけどあの日、楓が……楓の心にまだ俺がいるんだとはっきり知って、もう自分の感情を抑えられなくなった」 彼の瞳が揺らぐ。 「楓の命が尽きそうなのを目の当たりにして……俺はなにを諦めているんだと」 最近、本当に涙もろくなってしまった。 周りに人がいっぱいいるのに、涙を止められなくなって、手で顔を覆う。 「ずっと楓に言ってきたのに。現実から目をそむけるなって。それでも未来は必ずあるからって」 だから辛い時期を乗り越えてこられた。 知樹と一馬がいたから、私は高山が好きでいられた。 「俺がしたことは、許されない。だからその罪は一生背負っていくつもりだ。だけど、楓も諦めない」 未来は、きっとあるから。 うなずくだけで精一杯だった。
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