未来は、きっとあるから

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「あれ、木原先生じゃないの」 移動している途中で、話しかけられる。 「木村さん! 体調はいかがですか?」 少し前まで肺炎で入院していた患者だった。 「祭までに治しますという先生の約束通りになりましたよ。もうすっかり元気です」 「それはよかった」 その光景を見て思う。 知樹はたしかに、高山の医療に貢献している。 「またべっぴんさん連れて」 どうやらナースだとは気づかれていないようだ。 私の担当ではなかったから、接点は少ない。 「でしょう?」 知樹の放った一言に驚いた。 だけど、堂々と交際宣言できることが、こんなに幸せだとは知らなかった。 それから知樹は、私がからくりを楽しめる場所を探してくれた。 「始まるね」 「うん。久しぶりだ」 互いに夜勤明けで眠いはずなのに、アドレナリンが出ているのか、気持ちが高揚するばかり。
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