未来は、きっとあるから

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あの日。 私が目覚めるまでに、知樹は一馬に今までのことをきちんと詫びて、話し合いをしたようだ。 だけど一馬は責めるどころか「楓を助けてくれてありがとう」としか言わなかったらしい。 そして、「知樹にしか楓を幸せにできないんだ」と、泣いてくれたのだと知ったとき、一馬の優しさに私も涙した。 あれからふたりはよく会っていて、「不思議なことに、今は全然辛くない」と知樹に漏らしたことがあるようだ。 だけどもちろん、それが一馬の気遣いなのだとわかっている。 だからといって、一馬に遠慮して知樹との付き合いをやめるという選択肢はなかった。 それは一馬も望んでいないとわかっていたから。 「ご挨拶してくる」 「なんのでしょう? おやめください」 焦る一馬と、余裕の知樹。 仕事中の一馬は、これ以上なにも言えない。 「それじゃあ、あとで紹介してもらえますか?」 「はぁー」 一馬は困った顔で知樹を見つめるけれど……。 「かしこまりました。とにかく今は、お早めにお部屋の方へ」 「やめてくれ」と目で訴えられた私達は、ひとまず素直に部屋に向かった。
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