初恋は、幼馴染と

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私達の旅立ちの日は、晴れやかな空が広がっていた。 知樹と一緒に高山を出ることにしたのだ。 あの日、知樹と結ばれた私は、落ち着きを取り戻し、父と母のことを冷静に考えられるようになった。 そして次の日。 私の家にやって来た知樹は、一緒に父と母に交際を宣言してくれた。 私を抱いたことの責任をきちんと示してくれた彼への思いが、ドンドン強くなる。 父も母も私達の交際に驚いたけれど、「楓さんと付き合わせてください」ときちんと頭を下げた知樹の話に耳を傾けてくれた。 「あなた達……」 「僕はずっと楓さんが好きでした。僕も彼女も高山を出てしまいますが、これからも彼女を守りたいと思っています」 とても高校生の言葉だとは思えなかった。 まるで、結婚の申し込みのような知樹の言葉に、誰もが驚いていた。 もちろん、私も。 だけど、知樹はきっと結婚というゴールを見ている。 だって、約束したから。 「知樹君なら……」 母は小さくうなずいた。 私が家を飛び出して、知樹や一馬のところに逃げ込んでいるのを知っていたからだ。 父は渋い顔をしていたけれど、最終的には知樹のきちんとした態度に納得してくれたようだった。
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