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「あーぁ、一馬、雨男でしょ」
無理やり、テンション高めに振舞ってみせる。
「違うだろ。それは楓の方だ。仕方ないから、団子でも食べて帰るか」
「団子って、子供じゃないんだから」
それではまるで、お菓子につられる子供みたい。
「そっか、いらないのか」
「いるけど」
「あはは」
一馬が私の手を引いたままその場を離れようとしたとき、会場からどよめきが起こった。
「あれっ?」
一馬が空を見上げる。
「雪があがってる」
からくり奉納が始まった。
一年前とは違う。
私はなんとなくそんなことを思った。
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