初恋は、幼馴染と

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私と一馬と知樹はいわゆる幼馴染。 同じ高山に生まれ、小学校から高校まで同じ。 家も近所でよく一緒に遊んでいた。 私達が住んでいたのは、古い町並みからは少し外れた所。 丁度春の高山祭と言われる山王祭で有名な日枝神社のすぐ近くで、有名な観光地、古い町並みには、散歩に行けるほどの距離だった。 だから私達の遊び場は、いつも古い町並みで、すべての店を知り尽くしている。 私の家は両親の仲があまり良くなく、家でケンカが絶えなかった。 ケンカのたびに、どちらかの家に転がり込んでは、自分の居場所を確保していた。 そんな事情を知っていたふたりは、いつも私に優しかった。 「またケンカか?」 「うん。ごめん」 「楓が謝ることじゃないさ」 一馬に泣きつくと、頭を撫でてくれる。 「でも、いつも一馬に迷惑かけてるよね」 「バカだな。俺も知樹も迷惑だなんて思ったこと、一度もないさ。楓、もう今日のケンカのことは忘れろ」 「えっ?」 「イヤなことは忘れるのが一番。くよくよしたって仕方ない。楓がなんとかできるもんじゃないだろう?」 一馬の言葉に、一旦はうなずいた。 だけど……今日のことは忘れられても……。
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