第1章・10年待ってて下さい

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景太はもう何も言わず、アイスティーを啜っている。 「私は二人が羨ましいな。戻れるなら大学生に戻りたい」 私が言うと、美羽は首をブンブン振って否定する。 「1年生や2年生ならイイですよ。でもその先はキツイ。就活は大変だし、将来は不安だし。私の夢は、先生みたいに結婚して幸せを掴むこと!」 そんなふうに言われ、私は曖昧に微笑むしか出来ない。 正面の景太は私をじっと見つめている。 まるで心の奥底まで探るような熱い視線。 私は息苦しさを隠すように、俯いてアイスティーを口にした。
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