第1章・10年待ってて下さい

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「ショック?」 聞き返す私に、景太は憮然とした顔で言う。 「先生は忘れたんですか? 俺が10年前に言ったこと」 景太に追及されて、脳裏には10年前の思い出がよみがえる。 教育実習最終日の放課後。 体育館の裏にある銀杏の木の下で、私は景太に告白された。 『先生が好きです。10年、待ってて下さい』 冗談や軽い感じではなく、真顔で、まっすぐな瞳で真剣に言われた。
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