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あの日のことは一生忘れないだろう。
初老の男性医師から夫の不妊症を告げられた、去年の夏。
「検査の結果、ご主人は乏精子症と診断されました。奥様には特に異常はありません」
私たちは夫婦揃って、医師の言葉を聞いた。
不妊の原因が自分にあると知った夫は、愕然としていた。
今思えば、私は席を外した方が良かったのかもしれない。
その方がわずかでも、夫のプライドは保てたような気がする。
医師と夫の二人だけで話していれば、夫も冷静に受け止めて治療を考えたかもしれない。
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