第2章・不妊症

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咄嗟には言葉を出せなかった。 本音を言えば欲しい。 “どうしても”じゃないにしろ、欲しい気持ちは強い。 私にとって子供を産んで育てることは、人生設計の柱でもあった。 だが夫の顔を見ていると、それは口に出来なかった。 本心を伝えたら夫を傷つけてしまう。 だから私は静かに首を振って告げた。 「無理してまで欲しいとは思わない。あなたと二人だけでも幸せだし」
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