第1章・10年待ってて下さい

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10代、20代の若い頃は、風くらいで一喜一憂しなかった。 そんなもの特に意識もせず、真夏だろうが無風だろうが、目の前の出来事に夢中だった。 一体いつから私は変わってしまったのだろう。 結婚した5年前から? 30歳を過ぎた2年前から? ううん、そうじゃなくて、きっと……。 思い当たる一番の原因に心が囚われて苦しくなった時、 「先生!」 と呼ぶ声が聞こえ、私の思考は中断された。
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