脱却①

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「李煌さん」 「なっ、何?」 「そこ座って。外で寒いかもしれないけど…」  言われるままにベンチに座った李煌さんの隣に、 俺も腰を下ろした。  冬はほとんど人気のない公園だ。  人目を気にせず渡すには丁度いい。  気持ちを落ち着かせたくてホットミルクティーを李煌さんに差し出す。  それを嬉しそうに飲む気配に、俺も緊張が解けて来た。  俺は買ったばかりの指輪を袋から取り出す。 「今は、安物で悪いんだけど…、いつかちゃんとしたの買うから我慢して」 「大河くん……。ううん、値段より気持ちだよ。俺にとってどれだけ価値があるかが大事だから、凄く嬉しい」  さっきまでテンパっていた李煌さんが、 どこか吹っ切れたように優しい笑顔を見せてくれた。  胸の中がギュッと温かい何かに締めつけられる思いがした。 「李煌さん、誕生日おめでとう」  俺は薬指ではなく、 鎖に通した指輪を李煌さんの首にそっと掛けた。
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