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笑わない店主に、世間の風は冷たかった。
あんなに賑わっていた店も、無表情の店主が接客すれば右肩下がりに客足は減っていった。今では常連の客が数人来る程度である。
味で勝負できないことが、メロは悔しかった。
せめて町中であれば……。そんなどうしようもない思いがメロの胸を占める。
町中のパン屋は賑わっているという。そう考えて、メロははっと首を振った。大事なのは味のはず。ちゃんとやっていれば結果はおのずと付いてくる。
メロは閉店準備をしようと立ち上がった。
カランカラン
「あ……」
店に入ってきたのは、ニコルだった。
「やぁメロ。まだいいかな?」
にこやかに言うニコルに、メロは目を泳がせた。
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