第1章

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「お師匠様?」  パンの量も気になったが、そっちの方が気になった。 「そういえばニコルって、なにをしているの?」  毎日顔を合わせているけれど、ニコルのことはなにも知らない。どこに住んでいるのか、どんな仕事をしているのか、興味があった。  ニコルはうーんと天井を仰いだあと、メロに視線を戻すとにこっと笑った。 「内緒!」  ますます謎は深まるばかりだった。    ○●○●○  明かりの灯された店内で、ニコルは楽しそうにパンを選んでいる。メロはカウンターに座ってそれをじっと見ていた。  夜にニコルが来るのは珍しい。これから晩ごはんなのか、明日の朝ごはんにするのか。 「メロ」  突然彼と目が合って、メロはびくっとした。 「な、なに!?」 「そんなに見られちゃ選びにくい」
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