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背後より迫っていた鎌鼬の頭部から股にかけて深々と斬り裂く。
「私の異能は電気。俗に言う電撃使い。エレクトロマスターだ」
最早届く事は無いと知っておきながら、着地と同時に刀を振るい、付着した血潮を弾くと、そのまま鞘に収める。
一方、斬り裂かれた二匹の鎌鼬は、ろくに受け身すら取れずに鮮血を撒き散らしながら落下した。
「が……かはっ」
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
片や落下の衝撃と共に絶命し、片や落下の衝撃と斬り裂かれた時の激痛が体中へと駆け廻り、耳にキンと響く様な悲鳴を巻き上げた。
バタバタと血の入り混じった泡を吐き散らしながら暴れ回り、そして僅かに痙攣した後に、そのまま絶命したのを確認した彩音は、ポケットから携帯を取り出し、先程電話した上司の男に連絡を取ろうとする。
すると、まるでタイミングを見計らったかの様に、携帯から着信音が流れ、ディスプレイに、先程の男の名が示された。
それを見て、フゥと吐息を漏らし、応答のボタンを押して、携帯を耳に充てる。
「終わったぞ。任務は無事に完了だ」
「おぉ、確認した。見事な手際だったな」
確認した?
一体、一体どういう事だ?
ふと、端末越しから発せられたその単語に疑問を感じた彩音がそれを問い質そうとしたその時、繁華街へと通じる通路より彩音の肩をポンと叩く人物が現れた。
「ご苦労様。後の事は妖対策局の奴等に任せておこうか」
気怠そうな声。
聞き覚えのある声。
その声に、再び吐息を漏らした彩音は、ジトッとした瞳で、その人物を睨み付けた。
「おい、なんで日野本が此処にいる?」
振り返った先にいたのは、先程、携帯越しに電話をしていた筈の上司の姿。
彼こそ、彩音の所属する異能対策局の執行部隊の班長を務める日野本 修市(ひのもと しゅういち)本人である。
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