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「なんでって、確認の為だよ。彩音が間違って、妖を殺していないかの……ね」
そう言って、路地裏に転がる二匹の亡骸を確認した修市は、落胆の表情を見せなかったものの、目をスッと細め、彩音へと視線を向けた。
「確か、殺さない様にって連絡したよね?」
「抵抗してきたから殺した。一応、規則の範囲内の行動はとったぞ」
捕縛の対象が殺意を以って襲い掛かってきた場合、その場合に限り、殺生が許される法律。
と、言うよりも、妖を人間が相手にする際の必要処置として臨時的に提示された規則ではあるのだが、彩音の言い分に、今度は修市がフゥと息を漏らした。
「成程、まぁいいや。上にはその様に報告しておくよ。取り敢えず、此処は俺が見ておくから、式守は表にいる連中にこいつらの処分をするよう掛け合ってくれないか?」
「なんで私が……」
「上司の命令だ」
「とんだパワハラだな……分かった。話してくる」
「それじゃ、お願いします」
短いやり取りの後、渋々ではあるが、繁華街の通りで捜索している他の部署の面々に鎌鼬の処分を任せる為に連絡に向かう彩音。
彩音を見送った修市は、再びフゥと息を漏らすと、裏路地の方角へと振り返った。
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