異能対策局 本部

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「全く、先程の遣り取りは、確かに日野本班長が悪いですよ。反省して下さい」  と、彩音が落ち着いた時を見計らったかの様に、二人へ向けて一人の男性が話しかけてくる。 「あ、怪奇(かいき)さん、お疲れ様です」 「……どうも」  話しかけてきた男性に対し、修市は先程の遣り取りを見られていたのかと苦笑を浮かべながら挨拶し、彩音は視線を逸らしながら簡素に挨拶の言葉を述べる。  彩音の様子に、怪奇と呼ばれた男性はクスクスと笑うと、昨日の鎌鼬の件も含め、二人に労いの言葉を送る。 「あぁ、お疲れ様。昨日は大変だったね。鎌鼬の件だけど、本当だったら他の対策局の隊員達に任せたかったんだけど、そうはいかない理由が出来てね」  そう言って、修市へと視線を向ける怪奇に、修市はその意味を解し、内心吐息を漏らす。 「怪奇さん、その話はこの場でしなくてもいいですよね?」 「えぇ、勿論。この場でするような話ではありません。ですので、その件は一旦保留として、早速本題に入りたいと思います」  と、やや砕けた口調で話していた怪奇だったが、本題に入るや否や、表情が引き締まり、真剣な眼差しで二人を見る。 「今回、君達が駆逐した鎌鼬の件ですが、後の調査で、君達に駆逐される前、複数の人物、或いは同じ妖と接触していた事が分かりました」
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