異能対策局 本部

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「複数の……人物?」  複数の人物と接触していたというキーワードに、彩音が反応する。 「えぇ、私達と同じ人間か、人の姿を模した妖。私達はこの中でも後者である可能性が高いと判断しています」  妖は鎌鼬の様に獣の姿をした者ばかりとは限らない。  中には、人と同じ姿を模した妖や人間そのものに化ける妖も多々存在する。  その中でも、人の姿に化けた妖ほど狡猾で捕捉する事が困難とされている上に、個々の戦力が非常に高い。  過去にも、人の姿に化ける妖を相手に対策局の隊員達が団結して挑んだ事があったが、その時にも、多数の死傷者を出した事を、修市は覚えている。 「とはいえ、これはあくまでも仮説であって、正確な情報ではない。が、この様に情報が出回っているという事は、可能性は零ではないという事だ」  僅かでも可能性があるならば、入念に下調べをした上で、その情報が正しいものならば、やる事は自ずと決まってくる。 「なので、君達には鎌鼬が接触したであろう者達の特定と、可能ならば捕縛、もしくは駆逐してほしい」  矢張りそうなったと、今回の依頼内容にげんなりとした表情を浮かべかけた修市だったが、それよりも先に、怪奇は笑顔で言い放った。 「悪いけど、拒否権は無いよ。これはあくまでも命令。上官命令である」  上官命令という単語に、修市は依頼を拒否するタイミングを失う。  それとは打って変わって、彩音はくすりと笑みを浮かべた。 「上官の命令だったら、しっかり従わないといけないよな。日野本班長」
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