繁華街

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 怪奇の依頼を受けた修市と彩音は、鎌鼬が接触した妖を調べるべく、繁華街を中心に聞き込みを行っていた。  しかし、聞き込みを始めたのはいいが、与えられた情報が少ない為か、中々有益な情報を得る事も出来ず、時間だけが過ぎていった。 「全く、とんだパワハラを受けたものだ」 「お前が言うな。パワハラはお前の専売特許だろ」  愚痴る修市を咎めるも、彩音もまた内心、修市の意見に賛同していた。  二人で調査を行うには、この繁華街は広すぎる。  せめて索敵に特化した異能を所有する隊員がいればと思ったその時、鎌鼬の一件で自身が使用した異能の事を思い出した。 「なぁ、日野本」 「ん、なんだ?」 「私の異能を使えば、ある程度は捕捉できるかな?」  自身の掌を中心にバチバチと静電気を発生させる。  鎌鼬を追う際に彩音が用いた異能の応用。  自身が発する電磁波を応用し、その反射波をレーダーとしての機能をはたし、周囲の空間を把握する力。  これさえ用いれば、他の生物や機械から発せられる電磁波によって、その者が人間か妖かを見分ける事が可能となるのだが、彩音の提案に対し、修市は首を左右に振って否定した。
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