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「電池切れって、私の異能はそう簡単に……」
切れる事は無い。
そう言いかけた彩音だが、それよりも速く、修市の言葉が、彩音の言葉を掻き消した。
「それじゃあ、昨日の鎌鼬の件以降、しっかり充電したか?」
「……う」
思わぬ反撃に、言葉も出ない。
「やっぱりな。一回索敵した上に戦闘も重ねたんだ。少量とはいえ、十分に消費しただろ。それに、今日の一件と今、それも、僅かではあるが、消費した事にかわりはないんだぞ」
「……む」
更なる反撃に、掌でバチバチしていた静電気を抑えると、ポケットに手を突っ込み、コードを取り出す。
「問題ない。充電器はちゃんと用意している。この辺りの喫茶店で充電すればいい。この際だ、充電しながら索敵しよう。充電しながら索敵できるんだ。一石二鳥だな」
ふふん、と、満足気に笑みを浮かべる彩音に、修市は思わず溜息を漏らす。
「充電しながら異能を使うな。容量が減ってしまうぞ」
「私を充電式の機械の様に扱うな。失礼極まりないぞ」
「おい、自分が言っていた台詞を思い出せ。十分に携帯電話のノリで言ってた筈だろ」
「全く覚えがない」
「自分の胸に手を当てて聞いてみろ」
「……悪い。全く覚えがない」
自身の胸に手を当て、残念そうに首を振る彩音。
対策局での遣り取りを再現した二人は、仕方なくそのまま近場の喫茶店へと向かった。
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